マックプログラム(ミーティングの序文)

 マックは、毎日グループセラピー(仲間と一緒にミーティング)を行っているアルコールや薬物依存症から回復したいという依存症者仲間の集まる拠点施設である。
 マックは、アルコールや薬物をやめたい仲間の手助けをすることを目的とし、どんなにひどい依存症者でも自分に正直になれさえすれば、マックプログラムを実践することにより回復できると信じている。それはマックプログラムを経て12ステッププログラムによって回復している多くの仲間が証明している。
 マックプログラムは、12ステップの1・2・3のステップを基本に据えて、依存症者がこれから飲まないで生きるための道案内、希望のメッセージを伝える。
 マックにおいて要求されることは、アルコールや薬物を使用しない人生をこれから生きていきたいと願うことである。
 なお、ミーティングで話されたことは、仲間を信じて正直に話されたことです。その信頼に応えるために、あなたが聞いた事柄は、ここの部屋の中とあなたの胸の内だけに留め、外部に対し秘密として下さい。


何をするのか

1 自分自身にとってアルコール(アディクション)がどのような存在であったかを正直に見つめます。

2 アルコール(アディクション)に対するコントロールが失われていったことを認めます。
3 仲間(回復のサンプル)、それも信頼のできる仲間との出会いを通して、自分自身を肯定的にとらえ直し、歪んでしまった古い生き方と決別していきます。
4 1~3の過程で、新たな生き方を作りだしていく準備をしていきます


マックのプログラムの内容

 北は札幌、南は福岡まで、全国に18か所(平成29年4月現在)のマック(法人)があります。マックプログラムは、各施設ごとに多様性に富んでおり、アルコール依存症者の回復に役立つ手がかりを提供しています。(TOPページの「全国のマック」から各施設のホームページに移動できます。)
 マックは、訪れた利用者を、AAをはじめとする12ステッププログラムを使った自助グループにつなげることを目的としています。マックはそのための手伝いをするプログラムで成り立っています。
 マック創設者のジャン・ミニー氏がこのように言っていました。
 「お酒をやめることが回復ではありません。お酒をやめ続けなけ
 れば回復できません」
 お酒をやめ続けるために、マックプログラムは効果があります。
 また、定期的にマックプログラムを通して回復している依存症者の仲間の体験談発表を中心とした『マックセミナー』を開催しています。
 詳しくは各地のマックへお問い合わせ下さい。

その他のプログラム

 仲間と一緒に行動することがプログラムに大切なことです。
 一番にあげられるのは、仲間と一緒に行うミーティング。マックプログラムの基本です。ミーティングを通して深めていく仲間意識と並行して、各施設で様々なプログラムを行っています。
 例えば、スポーツプログラムでは、卓球やソフトボール、体操などを取り入れている施設があります。音楽や書道、映画鑑賞や料理などのプログラムを定期的に行っている施設もあります。
 また、地域のAAグループによるセミナーに参加をして、アルコール依存症からの回復をしている多くの仲間と出会えます。
 近隣のマックの施設同士の交流のプログラムは、同じマックプログラムを毎日行っている利用者のフェローシップ(「仲間意識」)を深めることができます。
 マックには、「自分の居場所」があります。マックを訪れる人たちは、アルコール依存症を中心とするアディクションに囚われた結果、物理的にも内面的にも自分が居られる「安心の場」を失ってしまっています。
 マック施設は利用者を「人をして人たるに値する存在」として受け入れます。
(マックグループの行動倫理に関する基準2より)


プライバシーを尊重

 人は誰でも他者に知られたくない、秘密にしておきたいことがあります。マック施設のなかはひとつの小さな社会です。それも、仲間意識が漂う雰囲気のなかで「人間としての尊厳」を尊重し、互いにアノニミティ(無名性)を大切にする、これらのことを活動上の基本に据えている文化を持った社会です。
 このような社会を織りなす活動を行うこと、このことはマックグループの基本理念が謳っているところでもあります。
 アノニミティとは・・プライバシーの権利よりもさらに深く広い意味を内包している概念ですが、社会の皆に知られてしまうという恐れを防衛するための手段(外部に対して秘密とする)としてのアノニミティはプライバシーの権利と重なり合います。
 マック施設は、アルコール依存症の問題をもって訪れる人たちを差別せず、回復の道案内をすることをその使命としています。
 回復は正直な自分の姿との出会いから始まります。マックミーティングは、正直な話、正直な雰囲気に包まれ、その場で話された個人の物語は外部に漏らさないという信頼感に包まれた環境のなかで行われなければなりません。このような基本的信頼感に基づいた安心の場のなかであって初めて「正直な分かち合い」ができ、人は自分の正直な姿に触れるチャンスと出会えるようになります。
 回復への道案内を行う上で、プライバシーを積極的に保護すべき所以がここにあります。